妊娠可能期間の長さは、不妊傾向のカップルが自然に継続妊娠する可能性と関連します

論文紹介

妊娠可能期間の長さは、不妊傾向のカップルが自然に継続妊娠する可能性と関連します

タイトル:The length of the fertile window is associated with the chance of spontaneously conceiving an ongoing pregnancy in subfertile couples
著者:M J Keulers 1, C J C M Hamilton, A Franx, J L H Evers, R S G M Bots
出版:Human Reproduction, Volume 22, Issue 6, June 2007, Pages 1652–1656,
PMID:17449509
DOI: 10.1093/humrep/dem051
論文元URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17449509/

それぞれの月経周期において、性交渉によって受胎をもたらせる期間を「妊娠可能期間」と呼びます。妊娠可能期間は排卵日に終わりますが、始まる時点についてはほとんど知られていません。著者らは、正常な精子-粘液相互作用が見られた最初の日を、妊娠可能期間の開始と定義し、妊娠可能期間の長さはカップルによって異なり、妊娠可能期間である日数は自然受胎までの時間に関係するという仮説を立てました。

≪論文紹介≫

方法

最初の正常な精子-粘液相互作用の日を見つけるために、一連の性交後の検査と精子-粘液通過試験を行いました。排卵は連続超音波検査で確認されました。コックス回帰分析を用いて、妊娠可能期間の長さが継続妊娠までの時間と関連するかどうかを特定しました。この関連性は、受胎確率比(FR)で表されました。

結果

410組の不妊傾向のカップルを対象に、妊娠可能期間の長さを決定しました。妊娠可能期間の長さは、1日未満から5日超過まで、カップルによって異なりました。FRは、妊娠可能期間の長さが拡大するにつれて増加し、妊娠可能期間が1日の場合は0.11(95%CI:0.03-0.45)、5日以上の場合は2.4(95%CI:1.1-5.2)と異なりました。

結論としては、不妊傾向のカップルでは、妊娠可能期間が長いほど、継続妊娠で自然に受胎する確率が高くなります。

妊娠可能期間の長さと継続妊娠の受胎までの時間との間の関連性を示すカプラン・マイヤー図表

図2:完全な妊娠可能期間の長さを決定できた212組のカップル(図2A)と、最低限の妊娠可能期間の長さを決定できた198組のカップル(図2B)における、妊娠可能期間の長さと継続妊娠の受胎までの時間との間の関連性を示すカプラン・マイヤー図表

完全な妊娠可能期間の長さを決定できた212組のカップル

図2A

グラフAの表

最低限の妊娠可能期間の長さを決定できた198組のカップル

図2B

グラフBの表
  • 妊娠可能期間の長さが5日以上のカップル(完全な妊娠可能期間の長さではn=17)
  • 妊娠可能期間の長さが4日のカップル(完全な妊娠可能期間の長さではn=47、最低限の妊娠可能期間の長さではn=6)
  • 妊娠可能期間の長さが3日のカップル(完全な妊娠可能期間の長さではn=58、最低限の妊娠可能期間の長さではn=50)
  • 妊娠可能期間の長さが2日のカップル(完全な妊娠可能期間の長さではn=34、最低限の妊娠可能期間の長さではn=69)
  • 妊娠可能期間の長さが1日以下のカップル(完全な妊娠可能期間の長さではn = 54、最低限の妊娠可能期間の長さではn = 73)

カプラン・マイヤー分析では、最初の評価から1年以内の継続妊娠の発生と完全な妊娠可能期間の長さに非常に強い関係が見られました(図2A)。最低限の妊娠可能期間群のカプラン・マイヤー図表にも同様の傾向が見られました(図2B)。

表2:単変量および多変量コックス回帰分析

Univariable analysis Multivariable analysisa
FRb 95%CIc P-value FR 95%CI P-value
≤1 day(n=54) 0.11 0.03-0.45 0.00 0.12 0.03-0.53 0.00
2 days(n=34) 0.50 0.20-1.25 0.14 0.56 0.22-1.41 0.29
3 days(n=58) 1 1
4 days(n=47) 1.7 0.93-3.00 0.09 1.9 1.04-3.4 0.04
≥5 days(n=17) 2.4 1.1-5.2 0.02 2.3 1.06-5.0 0.04
At least ≤ 1 day(n=73) 0.28 0.12-0.63 0.00 0.34 0.15-0.77 0.01
At least 2 days(n=69) 0.67 0.36-1.3 0.22 0.71 0.37-1.3 0.29
At least 3 days(n=50) 1.2 0.67-2.2 0.52 1.2 0.65-2.2 0.58
At least 4 days(n=6) 2.5 0.74-8.5 0.14 1.9 0.54-6.4 0.33
Female age(years) 0.92 0.88-0.97 0.00 0.93 0.89-0.98 0.01
Duration of subfertility(years) 0.86 0.71-1.03 0.10 0.87 0.71-1.06 0.16
Primary subfertility(%) 0.84 0.58-1.21 0.35 0.80 0.54-1.18 0.25
Sperm characteristics
Volume(ml) 1.02 0.87-1.19 0.64 1.05 0.89-1.22 0.58
Concentration(106ml-1) 1.10* 1.04-1.16 0.00 1.08* 1.02-1.14 0.01
Motility(%) 1.01 1.00-1.02 0.18 1.00 0.98-1.01 0.47
Morphology(%) 1.01 1.00-1.03 0.08 1.01 0.99-1.02 0.24

多変量解析では、潜在的交絡因子として、女性の年齢、不妊傾向の期間、不妊傾向の型、精子の特性を取り入れました;bFR, 受胎確率比(オッズ比); cCI, 信頼区間;*精子濃度が1~20×106 /mlのFR。それ以上の濃度でも、20×106 /mlの濃度と同じFRが得られます。

多変量コックス分析では、妊娠可能期間の長さは、依然として継続妊娠の自然受胎の可能性の強い決定因子のままでした。妊娠可能期間の長さ以外には、女性の年齢(FR:0.93/年、95%CI:0.89-0.98)と精子濃度(1.08/1×106;95%CI:1.02-1.14)が最初の12ヶ月間の継続妊娠と有意に関連していました。

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