ドイツでの前向き研究の妊娠までの時間と不妊症管理への影響

論文紹介

ドイツでの前向き研究の妊娠までの時間と不妊症管理への影響

タイトル:Time to pregnancy: Results of the German prospective study and impact on the management of infertility
著者:C Gnoth 1, D Godehardt, E Godehardt, P Frank-Herrmann, G Freundl
出版:Human Reproduction, Volume 18, Issue 9, September 2003, Pages 1959–1966,
PMID:12923157
DOI: 10.1093/humrep/deg366
論文元URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12923157/

≪論文紹介≫

目的

自然家族計画法(NFP)利用者の累積受胎率(CPC)の※ノンパラメトリック推定を提供し、理想的な人間の妊孕力を説明することです。
→※母数に依存しない統計手法を使いました

方法

1周期目以降にNFP法を利用して妊娠した合計346人の女性を観察しました。

NFPを実践しているカップルは、タイミングを決めた性交により、妊孕力を最大限に活用しています。

群全体および最終的に妊娠したカップルのCPCは、※カプラン・マイヤー生存率を計算することにより推定しました。
→※イベントが発生するまでの時間を解析する方法

結果

346人の女性のうち合計310人が妊娠しました:残りの36人(10.4%)は妊娠しませんでした。

群全体(n=340の女性)の1、3、6、12周期での推定CPCはそれぞれ38、68、81、92%でした。

最終的に妊娠した人(真に妊孕性があるカップル、n=304)の妊娠率は、それぞれ42%、75%、88%、98%でした。

両群のカップル数は同程度でしたが、※ウィルコクソン検定で判定した受胎までの時間に対する年齢の影響は、真に妊孕性がある人の方が群全体よりも少なかったです。
→※ノンパラメトリック検定のひとつ

結論

ほとんどのカップルは、タイミングを決めた性交で6周期以内に妊娠します。

その後の、2組に1組のカップルは、恐らく不妊傾向か不妊のどちらかだと思われます。

CPCは年齢とともに低下しますが、これは妊孕性の不均一性が増加するためです。

真に妊孕性があるカップルの小群では、加齢しても均一性が高いため、CPCの年齢に依存した低下は統計的にはあまり顕著ではありません。

表1 全カップルおよび最終的に妊娠した女性の真に妊孕性のある小群における累積受胎率(CPC)

対象グループ 1周期までの累積 3周期までの累積 6周期までの累積 12周期までの累積
全カップル 0.38(0.026) 0.68(0.026) 0.81(0.022) 0.92(0.017)
真に妊孕性があるカップル 0.42(0.028) 0.75(0.025) 0.88(0.018) 0.98(0.009)

括弧内の値は標準誤差(SEM)
an=340;妊娠までの時間が不正確なため、6組のカップルを除外
bn=304組のカップル;妊娠までの時間が不正確なため、6組のカップルを除外

図1
カプラン・マイヤー生存時間関数(n = 340カップル、6組はTTPが不正確なため除外、受胎でないため打ち切り)から計算された受胎の経時的累積確率分布(妊孕性に焦点を合わせた性交を伴う周期数;妊娠までの時間(TTP))

受胎の経時的累積確率分布

図2
観察期間中に最終的に妊娠したカップル(菱形:真に妊孕性のある(TF);n=304、TTP)と妊娠に失敗したカップル(正方形:恐らく不妊(PI);n=36、脱落した時間)のカプラン・マイヤー生存時間関数から算出した研究からの累積離脱率

ウィルコクソンおよびログランク検定:P < 0.001

慣習的にp<0.05を有意水準として設定し、それを下回ったら統計的に有意差がありますと言うことができる

カプラン・マイヤー生存時間関数から算出した研究からの累積離脱率

妊娠しなかった人(PI)の周期の生存曲線から計算された分布関数は、最終的に妊娠した人(TF)よりも有意に低かったです

図3
カプラン・マイヤー生存時間関数から算出された、異なる年齢区分における全カップルの受胎の経時的累積確率分布

異なる年齢区分における全カップルの受胎の経時的累積確率分布

全てのカップル(不妊傾向および真に不妊であるカップル)で、CPCでの統計的に有意(P = 0.0371;生存率のウィルコクソン検定)な年齢に関連した低下が見られました

図4
カプラン・マイヤー生存時間関数( n = 303;不正確な TTP(n = 6)または女性の年齢が示されていない(n = 1)ために7組のカップルを除外)から算出された、異なる年齢区分(25歳未満、n = 55;26~30歳、n = 168;31~35歳、n = 71;35歳以上、n = 9)における真に妊孕性のあるカップルの受胎の経時的累積確率分布

異なる年齢区分における真に妊孕性のあるカップルの受胎の経時的累積確率分布

最終的に妊娠した女性(TF)では結果はあまり明白ではなく、周期の妊孕性は年齢とともに低下しているように見えましたが、累積妊娠率に統計的な差はありませんでした

一覧に戻る

※掲載しているレビューは効果効能を保証するものではございません。あくまでも本商品をご使用されたお客様個人のご感想です。