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妊活の基礎知識(妊娠から出産まで)

妊活の基礎知識(妊娠から出産まで)

妊娠から出産まで

妊娠とは?

妊娠の成立は、約妊娠5週で子宮内に胎嚢(赤ちゃんの入った袋)が確認できたことをいい、医学的には臨床的妊娠といいます。

約妊娠4〜5週に尿検査で妊娠反応が陽性になった、また血液検査で hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が測定できた場合は着床したことがわかり、これを生化学的妊娠といいます。

子宮内に胎嚢が確認できないと正常妊娠なのかどうかがわかりません。なぜなら、異所性妊娠(子宮外妊娠)や胞状奇胎(子宮内にぶどうの房のような水疱状のものがたくさん詰まった状態:受精時の異常によって起こるなど)などでも妊娠反応が出るからです。

血中hCG値が妊娠週数と比べて高い場合、双子の可能性、胞状奇胎の可能性があり、また低い場合は、子宮外妊娠の可能性があります。

市販の妊娠検査薬で陽性と出ても、正常妊娠かどうかを知るには産婦人科で検査を受けることが大切です。

血中hCG値
妊娠4週 20〜 500
妊娠5週 500〜 5,000
妊娠6週 3,000〜19,000

(mIU/ml)

出産予定日の数え方

出産予定日は、最終月経の開始日から計算します。

最終月経日を0週0日として40週0日後(280日目)が出産予定日です。

また、ネーゲレ(Naegele)概算法を使って、最終月経の月に9を足し(9を足して13以上になる場合には、最終月経月から3を引く)、最終月経初日に7を足すことでもわかります。

ただし、月経周期が安定していない人、または月経周期が安定していても排卵がズレた周期で妊娠した場合は、誤差が出やすいことも知られています。

そのため、エコー検査で赤ちゃんの頭臀長(CRL:胎児の頭からお尻までの長さ)を調べ、7日以上ズレていた場合は、出産予定日を修正することがあります。

また体外受精などで胚移植を行ったカップルは胚移植日が明確なので、そこから計算して出産予定日を出しています。

妊娠中に起こるママの身体の変化と赤ちゃんの発育

着床は、子宮内膜の上にちょこんと乗って、そこに根を張るわけではありません。

胚は子宮内膜の中に潜り込んで、全部潜り込むと、その痕もきれいにして完全に潜り込んで発育していきます。

そのため、ちょっとのことで胚が流れ落ちたりすることはありません。初期に起こる流産のほとんどは、赤ちゃんの染色体に問題があることが原因となっています。偶発的に起こることなので、誰のせいでもありません。

妊娠5週目頃、エコー検査で子宮内に胎嚢が確認できたら妊娠成立です。

妊娠6週目頃には、エコー検査で赤ちゃんの心臓がピコピコと動いていることが確認できれば一安心です。

その後は、赤ちゃんとママの健康を守り、安心して安全に出産できるよう妊婦健診を受けましょう。妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から妊娠35週までは2週間に1回、妊娠36週から出産までは週1回の受診が勧められています。

健診費用には補助制度があるため、妊娠がわかったら住民票のある自治体(役所や保健所など)へ「妊娠届」を出して、母子健康手帳と一緒に妊婦健診用の健康診査受診票や母親、両親学級の案内などがもらえます。

母子健康手帳は、妊娠中から子どもが6歳になるまで、ママと子どもの健康状態、発育、発達の様子を記録する大切な手帳です。子ども1人に対して1冊交付されますので、双子の場合は2冊になります。

標準的な「妊婦健診」の例

厚生労働省では、14回分の妊婦健康診査として、以下のように「標準的な例」として示しています。

実際は、妊婦さんの症状や赤ちゃんの発育によって違いがあります。

妊婦健診を受けられる主な場所は、病院·診療所·助産所です。

(助産所で出産する予定の方は、助産師と相談の上、病院又は診療所でも妊婦健診を受けておきましょう。)

期間 妊娠初期~23週 妊娠24週~35週 妊娠36週~出産まで
健診回数
(1回目が8週の場合)
1·2·3·4 5·6·7·8·9·10 11·12·13·14
受診間隔 4週間に1回 2週間に1回 1週間に1回
毎回共通する
基本的な項目
  • 健康状態の把握…妊娠週数に応じた問診·診察等を行います。
  • 検査計測…妊婦さんの健康状態と赤ちゃんの発育状態を確認するための基本検査を行います。
    基本検査例:子宫底長、腹囲、血圧、浮腫、尿検査〔糖·蛋白〕、体重〔1回目は身長も測定〕
  • 保健指導…妊娠期間を健やかに過ごすための食事や生活に関するアドバイスを行うとともに、妊 婦さんの精神的な健康に留意し、妊娠·出産·育児に対する不安や悩みの相談に応じます。また、 家庭的·経済的問題などを抱えており、個別の支援を必要とする方には、適切な保健や福祉のサ ービスが提供されるように、市区町村の保健師等と協力して対応します。
必要に応じて行う
医学的検査
  • 血液検査 初期に1回
    血液型(ABO血液型·Rh血液型· 不規則抗体)、血算、血糖、B型肝 炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、 梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体
  • 子宮頸がん検診(細胞診)
    初期に1回
  • 超音波検査 期間内に2回
  • 血液検査 期間内に1回
    血算、血糖
  • B群溶血性レンサ球菌
    期間内に1回
  • 超音波検査 期間内に1回
  • 血液検査 期間内に1回
    血算
  • 超音波検査 期間内に1回
  • 血液検査 妊娠30週までに1回
    HTLV-1抗体検査
  • 性器クラミジア 妊娠30週までに1回

(平成23年4月現在)

参考:~すこやかな妊娠と出産のために~“妊婦健診”を受けましょう:厚生労働省

出産一時金の引き上げ

健康保険法施行令の改正(2023年4月1日施行)により、2023年4月1日出産分から、出産育児一時金が50万円に引き上げられます。

ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産された場合や妊娠週数22週未満で出産された場合の出産育児一時金は48.8万円になります。

また、現在厚生労働省は、202年度をめどに正常分娩の保険適用の導入を含めた出産に関する支援と強化について検討しています。

出産一時金

→ 出産育児一時金の支給額・支払方法について

※産科医療補償制度とは
分娩に関連して発症した重度脳性まひの子どもと家族の経済的負担を速やかに補償し、脳性まひ発症の原因分析を行い、再発防止に役立つ情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ることを目的とした制度。