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妊活の基礎知識(月経と妊娠)

月経と妊娠

月経と妊娠

排卵があるから月経がある

月経は、基本的に排卵があるから起こります。
月経周期は、月経期~卵胞期~排卵期~黄体期の4つの時期があり、これが順調に進むことで月経周期が成り立っています。

月経周期は、28〜35日の間に月経が起こっていれば問題ありません。

月経周期の数え方は、月経が起こった日から次の月経が始まる前日までが1周期です。
よく28日型、30日型などといわれますが、それよりも短くなったり、長くなったりする周期になることもあります。そうした周期が続くようであれば、一度婦人科を受診してみましょう。

また、1年前に比べて月経周期が短くなっていたり、長くなっていたりする場合も、一度、婦人科に相談をしてみましょう。
しかし、その後の周期が安定して起こっていれば、排卵が伴う周期であると考えられます。

月経周期の数え方

月経周期の数え方

月経周期が短くなったり、長くなったりするのはなぜ?

月経周期は、排卵までにどれくらいかかったかによって変わります。
排卵後、卵巣に残った卵胞が黄体化して黄体ホルモン(P:プロゲステロン)を分泌するようになります。黄体の寿命は約14日間です。そのため排卵から約14日で月経が訪れます。

月経開始から14日程度で排卵があった周期は、月経周期は28日くらいになります。
月経開始から16日程度で排卵があった周期は、月経周期は30日くらいになります。

月経周期とホルモンの深い関係

月経周期は、視床下部、下垂体、卵巣のそれぞれの器官がホルモンを分泌する、またそれに対して反応することが重要です。

月経周期とホルモンの関係

卵胞期

視床下部(GnRH:性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が下垂体に対してFSH(卵胞刺激ホルモン)を分泌するように命令します。下垂体はこれを受けて、FSHを分泌し卵巣を刺激します。
卵巣では、FSHによって卵胞が発育します。卵胞からは卵胞ホルモン(E2:エストロゲン)が分泌され、卵胞ホルモンは子宮内膜に作用し、これにより子宮内膜は厚みを帯びてきます。

排卵期①

卵胞が十分に発育すると、エストロゲンが視床下部に、卵胞が十分に育ったことを伝えます。これをポジティブフィードバックといいます。視床下部は、これを受けて下垂体にFSHの分泌を抑制して黄体化ホルモン(LH)を分泌するように命令します。
下垂体は、FSHの分泌を抑制し、LHを一過性に大量に分泌します。これをLHサージといいます。

排卵期②

LHサージによって、卵胞は成熟し、排卵のきっかけとなります。
卵胞は、卵巣内壁にくっついた一部から、卵胞の内圧によって卵子を排卵します。

黄体期

卵巣に残された卵胞は、黄体化し黄色味を帯び、黄体ホルモン(P:プロゲステロン)を分泌します。プロゲステロンは、エストロゲンによって厚くなった子宮内膜の着床環境を整えます。排卵後、卵子が精子と受精し胚が順調に発育すると、排卵から約5日目には胚盤胞になって子宮へと運ばれてきます。

胚は、透明帯から脱出し、内部細胞塊(将来赤ちゃんになる細胞)を子宮内膜にくっつけて、子宮内膜の中に潜り込んでいきます。完全に潜り込んで、潜り込んだ痕も修復すると着床は完了します。このとき、分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が血液や尿から検出されることで妊娠反応がでます。

着床が完了すると黄体は妊娠黄体となり、胎盤ができるまでの間の妊娠初期を支えます。着床しなかった場合は、排卵から約12日後にはプロゲステロンの分泌が低下し、排卵から約14日目に黄体の寿命が尽きると、黄体によって支えられていた子宮内膜は剥がれ、月経が始まります。

月経周期

基礎体温からわかること

妊活をしている多くの女性が基礎体温表をつけていることでしょう。

基礎体温とは、生命を維持するために必要な体温のことをいいます。

女性の基礎体温は排卵を境した体温変化があり2相性を描きますが、男性は変化のない1相性の基礎体温になります。
本来は眠っている時の体温になり測ることは難しいので、起きてすぐの体を動かす前に舌下で婦人体温計を使って測り、それをグラフ化することで、その周期の排卵を予測することができるとされています。

排卵は、低温期よりもグッと下がった日、高温期へ移行する途中など、いろいろな説がありますが、いずれも医学的な根拠に乏しく、基礎体温はその周期の排卵を予測するための参考にはなりますが、決定材料にはなりません。

基礎体温でわかるのは、ホルモン変化があるか、また次の月経周期がいつくらいになりそうかなどで、排卵日を予測するのは難しいのです。

順調な月経がある場合は、月経開始から10〜20日の間にコンスタントに性生活を持てば排卵を逃さずに妊活できるでしょう。

実際に、婦人科で排卵日を予測してもらうと、これまで基礎体温で排卵日と予測していた日よりも前後することもあります。
また、排卵後の高温期が続くこと、その体温が少し下がったことなどを心配する女性も少なくありません。基礎体温は、眠りの深さ、睡眠後に何度か起きた、または起き上がった、風邪をひいたなどで変化します。

順調な月経があり、基礎体温を測ることがストレスになっているのであれば、思い切って手放してカレンダーで月経開始から10〜20日をマークしたり、次の月経予定日がいつになるかマークしたりするだけでもやってみましょう。