基礎体温の測り方ガイド|排卵日予測や月経周期の把握に役立てよう
2025.10.07

妊娠を望む女性にとって、自分の体のリズムを知ることはとても大切です。
そのために多くの人が活用しているのが基礎体温の記録です。
しかし、中には「毎日測るのが大変」「どうやって見ればいいの?」と感じている人もいるかもしれません。
この記事では、基礎体温を正しく測る方法から、そこから読み取れること、そして妊活にどう活かすかまでを詳しく解説します。あなたの体のリズムを理解し、ストレスなく妊活を進めるための参考にしてください。
基礎体温とは?なぜ測る必要があるの?
基礎体温とは、生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギーしか消費していない、安静時の体温のことです。通常は睡眠中の体温を指しますが、実際に寝ている間に測るのは難しいため、起床後、体を動かす前の安静な状態で測るのが一般的です。
女性の体温は、ホルモン分泌の変化によって月経周期の中で変動します。この変動をグラフにして、体の状態を視覚的に把握することが基礎体温を測る目的です。
基礎体温からわかること

基礎体温を毎日記録しグラフにすることで、主に以下の3つのことがわかります。
排卵の有無
基礎体温は排卵を境に低温期と高温期の2つの相に分かれます。この2相性が見られる場合、排卵が起こっている可能性が高いと判断できます。
月経周期の乱れ
低温期が長すぎる、高温期が短い、あるいは低温期と高温期の差があまりないなど、基礎体温のグラフに不調が見られる場合、ホルモンバランスの乱れや月経不順の兆候を早期に発見できます。
妊娠の可能性
通常、月経が始まる前に体温が下がって高温期が終了しますが、高温期が2週間以上続く場合は妊娠している可能性があります。
これらの情報から、体のコンディションを把握し、妊活のタイミングを掴んだり、不調がある場合に早めに医療機関を受診したりする際の判断材料にすることができます。
正しい基礎体温の測り方、4つのポイント
基礎体温は、些細なことでも変動しやすいデリケートなものです。できるだけ正確なデータを取るために、以下のポイントを守って測るようにしましょう。
1. 毎朝同じ時間に測る
体温は時間帯によって変動するため、毎日決まった時間に測ることで、比較しやすいデータが得られます。アラームを設定するなどして、習慣化するのがおすすめです。
2. 4時間以上の睡眠後に測る
基礎体温は、体が完全にリラックスした状態での体温です。睡眠時間が短いと正確なデータが取れないことがあります。4時間以上まとまった睡眠を取った後に測るようにしましょう。
3. 婦人体温計を使用して舌下で測る
市販の体温計ではなく、小数点以下2桁まで測れる婦人体温計を使用します。舌の裏側にある「舌下(ぜっか)」と呼ばれる部分に体温計を当てて測ることで、安定したデータを得ることができます。
4. 数日忘れても気にせず継続する
「測り忘れてしまった」という日があっても大丈夫です。完璧主義にならず、測れた日だけでも記録を続けることが大切です。プレッシャーを感じすぎないようにしましょう。
アプリやグラフで基礎体温を管理しよう
測った基礎体温は、手書きのグラフや専用のアプリを使って記録します。アプリの場合、日々の体温を入力するだけで自動的にグラフを作成してくれるので、より手軽に継続できます。また、月経開始日や性交渉の有無、体調の変化などもメモしておくと、後からグラフを振り返ったときに役立ちます。
自分の体のリズムを把握することで、排卵日が推定しやすくなることから、妊娠しやすい時期に性生活のタイミングを合わせることができます。また、記録を医師に見せることで、専門的なアドバイスを受けることもできるため、クリニックへ受診をする際にも役立ちます。
特に、月経不順や基礎体温が一相性や低温期が短い、高温期が短いなどの問題がある場合は、早めに医師に相談するのがよいでしょう。
さらに、月経周期や基礎体温の記録は、妊活だけでなく、健康管理にも役立ちます。
例えば、ストレスや過労が原因で起こる月経不順などは、生活習慣の見直しやストレス管理を行うことで、健康的な月経周期を維持することができます。
月経周期と基礎体温の大切な関係

月経は、ただ単に起こるわけではなく、排卵があった結果として起こるものです。
女性の体は、このメカニズムを繰り返すことで、規則的なリズムを保っています。
月経周期は、「月経期 → 卵胞期 → 排卵期 → 黄体期」という4つの時期から成り立っています。このサイクルが順調に繰り返されることで、健康な体の状態が維持されます。
一般的に、月経周期は25日から38日の間であれば正常とされています。多少の変動があっても、周期が安定していれば心配はいりません。ただし、以下のような場合は、体の不調のサインかもしれません。
- 突然、周期が大きく乱れた
- 以前と比べて、周期が短くなったり、長くなったりする状態が1年以上続いている
このような場合は、一度婦人科を受診して相談することをおすすめします。
月経周期の数え方と排卵の関係

月経周期は、月経が始まった日(出血が始まった初日)から数え始め、次の月経が始まる前日までを1周期とします。この日数が、一般的に「28日型」「30日型」などと呼ばれるものです。
この周期の長さは、排卵のタイミングによって決まります。排卵から次の月経が始まるまでの期間(黄体期)は、個人差はありますが、約14日間でほぼ一定です。そのため、月経周期の長さは、月経開始から排卵が起こるまでの期間(卵胞期)によって変動するのです。
排卵が月経開始から14日目に起こった場合
周期は「14日(排卵まで)+約14日(排卵後)」となり、約28日周期になります。
排卵が月経開始から16日目に起こった場合
周期は「16日(排卵まで)+約14日(排卵後)」となり、約30日周期になります。
このように、月経周期の長さは、排卵が何日目に起こるかで決まります。自分の月経周期を把握することは、排卵日を予測し、妊活のタイミングを掴むための重要な第一歩となります。
基礎体温から読み解く月経周期と体の変化

女性の月経周期は、ホルモン分泌の変化によって「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の4つの時期に分けられます。基礎体温のグラフは、この4つの時期と密接に関係しており、それぞれの時期の体の変化を視覚的に捉えることができます。
1. 月経期(低温期)
月経が始まると、基礎体温は低温期に入ります。 この時期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が低下し、子宮内膜が剥がれ落ちて体外に排出されます。基礎体温は低温を保ち、次の排卵に向けて卵胞が育ち始めます。
2. 卵胞期(低温期)
月経が終わると、脳から卵胞を育てるホルモン(FSH)が分泌され、卵巣の中で卵胞が成長し始めます。この卵胞からエストロゲンが分泌され、子宮内膜を厚くします。基礎体温は低温期が続き、一般的には月経開始から排卵までの期間を指します。
この時期の基礎体温は個人差が大きく、排卵までの日数は人によって異なります。この期間の長さが、月経周期の長さを左右する主な要因となります。
3. 排卵期(低温期から高温期への移行)
卵胞が十分に成熟すると、エストロゲンの分泌量がピークに達し、脳から排卵を促す黄体化ホルモン(LH)が大量に分泌されます。これをLHサージと呼び、卵胞が破れて卵子が排出されます。
排卵期は、基礎体温が一時的にさらに下がることもありますが、明確な体温の落ち込みが見られない場合も多く、基礎体温だけで排卵日を特定するのは難しいとされています。排卵が起こると、体温は次の黄体期へと移行します。
4. 黄体期(高温期)
排卵後の卵胞は黄体に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を大量に分泌します。プロゲステロンには、子宮内膜を着床しやすい状態に整えたり、体温を上げる作用があります。そのため、基礎体温は高温期に入り、この状態が約14日間続きます。
妊娠が成立しなかった場合、黄体は役割を終えて縮小し、プロゲステロンの分泌が低下します。これにより基礎体温が下がり、次の月経が始まります。
一方、妊娠が成立した場合、黄体は胎盤が完成するまでプロゲステロンの分泌を続け、高温期が維持されます。高温期が通常より長く続く(16日以上)場合は、妊娠の可能性が高いと考えられます。

基礎体温の活用と注意したいポイント

妊活で最も重要なのは、排卵日を特定することではなく、排卵前後にタイミングを取ることです。 精子は女性の体内で2〜3日生きられるのに対し、卵子は排卵後、わずか24時間ほどしか受精能力がありません。そのため、排卵日を狙うよりも、排卵の数日前からタイミングを持つことが、妊娠への近道です。
順調な月経周期がある女性の場合、月経開始から10日目〜20日目頃までの期間に、定期的に性交渉を持つことをおすすめします。そうすることで、排卵を逃すことなく妊娠のチャンスを最大限に活かすことができます。
基礎体温記録と併せて活用したいもの
より正確な排卵日を知りたい場合は、基礎体温記録と合わせて、以下の方法を試してみましょう。
排卵日予測検査薬の使用
排卵を促すLHホルモンが急増する「LHサージ」を検出する検査薬です。陽性反応が出た日から約24〜48時間以内に排卵が起こるとされています。
基礎体温と合わせて月経周期を記録する
月経周期が安定している場合、次回の月経予定日から逆算して排卵日を予測することができます。
超音波検査による排卵日予測
不妊治療専門のクリニックでは、超音波検査で卵胞の大きさを確認し、より正確な排卵日を予測してくれます。
基礎体温を測ることがストレスに?
毎日基礎体温を測ることにプレッシャーを感じたり、ストレスになっていると感じる場合は、思い切って手放してカレンダーで月経開始から10〜20日をマークしたり、次の月経予定日がいつになるかマークしたりするだけでもやってみましょう。
過度なストレスは、かえってホルモンバランスを乱し、月経周期に影響を与える可能性があります。完璧なグラフを目指すよりも、まずは自分の体のリズムを大まかに把握し、おおらかな気持ちで妊活に取り組むことが大切です。
基礎体温は排卵日の「決定打」ではない
基礎体温の記録は、妊活の計画を立てる上で非常に有効なツールですが、それだけに頼りすぎるのは禁物です。
多くの女性が「基礎体温がガクッと下がった日が排卵日」と考えていますが、これは医学的に証明されたものではありません。基礎体温はあくまで、その周期に排卵があったかどうかを確認するための「目安」であり、正確な排卵日を予測する決定的な根拠にはなりません。
排卵日は日々の体調やストレスによって変動するため、基礎体温グラフだけで「この日だ!」と決めつけてしまうと、かえってタイミングを逃してしまうことがあります。
基礎体温が示すSOSサイン
基礎体温グラフにいつもと違う傾向が見られたり、月経周期が不安定だったりする場合は、体の不調を知らせるSOSサインかもしれません。以下のような状態が見られる場合は、一度婦人科へ相談することをおすすめします。
- 月経周期が24日以下、または39日以上になる
- 低温期と高温期がはっきり分かれず、グラフがガタガタしている(一相性)
- 低温期が長い(20日以上)
- 高温期が短い(10日以下)
- 月経が3ヶ月以上来ない
これらの兆候は、ホルモンバランスの乱れや、排卵がうまくいっていない可能性を示しています。早期に医師に相談することで、原因を突き止め、適切な治療やアドバイスを受けることができます。
まとめ
基礎体温は、自分の体のリズムを知り、妊活の計画を立てる上で非常に有効なツールです。しかし、完璧なグラフを目指すことや、基礎体温だけにこだわりすぎることが、かえってストレスになることもあります。
大切なのは、毎日コツコツと記録を続けること、そしてグラフから自分の体の傾向を理解することです。もし、基礎体温を測ることが負担に感じる場合は、一度休憩したり、他の方法を試したりするなど、ご自身に合ったペースで取り組んでみてください。