妊活と不妊治療(不妊治療の方法と適用)
2024.10.31
病院やクリニックは、どう選べばいいの?
「なかなか赤ちゃんができない。検査してみようか、治療をした方がいいのかな?」
と考えた時、「どこに行けばいいのだろう?」とか、「いついけばいいのかな?」と悩むこともあるでしょう。
病院選びのポイントは3つあります。
1.通いやすい?
不妊治療と仕事の両立は、大きな課題です。それは専業主婦でも同じこと。家と病院、また病院と職場の位置関係、交通機関、通院時間などを調べましょう。
例えば、職場から病院へ通院する場合、診察後に職場に戻るのか、家に帰るのかなども考えることが必要です。
2.どんな病院?どんな医師?
それぞれの病院のオフィシャルサイトには、治療方針や医師の思い・専門性、治療実績や患者層などがわかりやすく紹介されているところもあります。
クリニックが開院したばかりでも、長年の経験も実績から開院する医師が少なくありません。医師のこれまでの職歴なども見てみましょう。
また、医師や看護師、胚培養士などのスタッフが病院のオフィシャルサイトに紹介されているところもありますので、ひと通り読んでみましょう。
3.治療実績は?
病院のオフィシャルサイトに1年ごとの妊娠率、生産率(生きて赤ちゃんが生まれてきた確率)などがグラフなどで紹介していることも多くあります。
ただ、妊娠率の算出の方法は病院ごとに違いがあるので、一概に比べることはできません。その病院の成績として参考にしましょう。
最近では、セミナーや勉強会を開いている病院も多くあります。病院やクリニックで開催される場合は、通院のシミュレーションにもなりますし、院内の様子もわかります。オンラインでの開催は、気軽に参加できるでしょう。
セミナーに参加する場合のポイントは2つ。
1.ふたりで参加すること
ふたりの問題という思いと情報が共有できます。
2.いくつかの病院のセミナーに参加する
病院を比べることで、医師との相性などもみることができるでしょう。また、治療への知識と目的意識が高まります。
近くに通いやすいところが1つしかなくても、オンラインセミナーなら全国どこでも参加することができます。そのクリニックに通院する、しないは別として、これから受ける検査や治療に関する知識を持つためにも、いろいろな病院のセミナーに参加してみましょう。
不妊治療の方法と適応
タイミング療法
排卵のタイミングを病院で確認してもらい性生活で妊娠を目指す方法
対象となるカップル
▶︎ひと通りの検査で問題が見つからないカップル
- 排卵に問題なし
- 卵管の通過性に問題なし(卵管形成術で開通した場合はタイミング療法が可能)
- 精子の数や運動率に問題がない など
▶︎妊活期間が1年未満のカップル
など
治療方法
エコー検査や尿、または血液検査で排卵をできる限り正確に予測して性生活を持ち妊娠を目指します。
カップルによっては、卵胞の発育や排卵の調整を行うために排卵誘発剤を用いることもあります。
タイミング療法で妊娠しない理由
妊活期間が1年以上あるカップルの多くは、基礎体温や市販の排卵日検査薬などを使って妊活をしてきていることでしょう。これを踏まえると、不妊の定義にすでに当てはまっていると考えるのが妥当かもしれません。
とくに、ひと通りの検査で何も問題がなかった場合は、排卵と性生活のタイミングを合わせた方法では、卵子と精子が出会えていない、もしくは出会っていても胚が育っていないなどの問題があるから妊娠が成立していないとも考えられます。
これまで性生活で妊娠成立したけれども残念ながら流産になってしまったカップルは、性生活での妊娠に期待できます。しかし、年齢が高い場合は、卵子の質、精子の質の低下などから性生活での妊娠には時間を要することもあるでしょう。
人工授精
排卵に合わせて調整した精子を子宮内腔に注入して妊娠を目指す方法
対象となるカップル
▶︎女性の検査で問題が見つからないカップル
- 排卵に問題なし
- 卵管の通過性に問題なし(卵管形成術で開通した場合は人工授精が可能)
▶︎精液検査で若干の問題があったカップル
など
治療方法
エコー検査や尿、または血液検査で排卵をできる限り正確に予測します。人工授精当日は、精液を調整し運動性のある精子を抽出し子宮内腔へ注入し妊娠を目指します。
カップルによっては、卵胞の発育や排卵の調整を行うために排卵誘発剤を用いることもあります。
人工授精で妊娠しない理由
カップルの年齢や妊活歴、治療歴などによって、人工授精行う治療周期に違いはありますが、
▶︎卵子と精子が出会っていない
▶︎受精しているが胚が育たない
▶︎胚は発育したが着床しない
などが考えられます。
タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療で妊娠が成立しない場合に、これらひと通りの検査では明らかにならないところに不妊原因がある可能性が考えられます。
体外受精
卵巣から排卵直前の卵子を採取し、体外で調整した精子と出会わせて受精させます。その受精した胚を一定期間培養し、子宮内腔へ移植して妊娠を目指す方法
対象となるカップル
▶︎ひと通り検査で問題が見つからないカップル
▶︎精液検査で問題のあったカップル
▶︎抗精子抗体のあるカップル
▶︎顕微授精:通常の体外受精で受精しなかったカップル
など
治療方法
卵巣機能などに合わせて排卵誘発を行って卵巣を刺激して卵胞を育て、成熟した卵胞から卵子を採取して体外へ取り出します。
卵子に精子を振りかけて受精させる方法を通常媒精(ふりかけ法):c-IVFといい、卵子の細胞質内に1個の精子を注入する方法を顕微授精:ICSIといいます。
受精した胚を培養液とインキュベーターで育て、胚を子宮内腔へ移植します。
最近では、採卵した周期には胚移植せず、胚を凍結し、移植に適した子宮環境、ホルモン環境をつくって移植する凍結融解胚移植を行う病院が多くあります。
また、受精から8日目頃までの胚を初期胚、受精から5日目頃の栄養外胚葉(将来胎盤になる細胞)と内部細胞塊(将来赤ちゃんになる細胞)に分化した細胞を胚盤胞といいます。
一般的に胚盤胞移植の妊娠率が高く、全胚凍結し、凍結融解胚盤胞移植を行う病院が増えています。
体外受精で妊娠しない理由
体外受精であってもふたりの年齢が大きく関係してきます。
▶︎卵子や精子の質が低下している
▶︎胚の質が良くない。または育たない
▶︎着床環境に問題がある
複数回移植をしても着床しない、妊娠が成立しない場合は、先進医療などを併用することがあります。
不妊治療の保険適用
婚姻関係又は事実婚であることが必須条件
一般不妊治療(タイミング療法、人工授精)の場合
年齢制限や回数制限なく保険が適用になります。
体外受精/顕微授精の場合
子ども1人につき(胚移植回数)
▶︎妻の年齢が40歳未満 … 6回まで
▶︎妻の年齢が40歳以上43歳未満 … 3回まで